■進化を生み出す湖〜ダナオ・マタノ〜

スラウェシ中央部の高原地帯に海と見違うような淡水湖が存在する。それがこのマタノリザーブ自然公園内で2番目に大きなDanao Matano(マタノ湖)である。
マタノ湖とトウティ湖間はおおよそ30kmほどしか離れていないが、その湖ごとに違う生物が生息し、そしてまた同じ湖内であっても北の端と南の端ではまた違った生物相が見られるのも大変興味深い。
湖はトウティよりも透明度が高く、PHはおよそ9.5とほぼダナオトウティと同じであり、石灰岩溶解湖である。

またこのマタノ湖は東南アジア区で最も深い湖であり、その最深部は600mもの深さに達する。またこれは世界でも8番目に深いとされる。



↓ ■水中にはレインボーフィッシュの一種、テルマセリナ・アントニアエが優雅に泳いでいるのがお分かりいただけるでしょうか?

■マタノのオテリア・メテンセリウム“ドワーフ”

マタノリザーブの固有種でもあるオテリアの一種。
マタノ湖のメテンセリウムは推進2〜3メートルと比較的浅い場所から深い場所まで見ることができる。
このマタノ湖のメテンセリウムはトウティのものと比較して比較的小型で肉厚の葉を展開する株が多い。


このニムフォイデスは枕水葉が主体で、花に時期になると花を咲かせる為に浮葉を出すという一般のニムフォイデスとは異なった生態を持つ。
この浮葉は受粉を手助けしてくれる昆虫の足場になったり、花を水面で安定させるバランスとしての用途を兼ね備えているようである。


↑■Eleocharis sp
ニムフォイデスとともに美しい緑の絨毯を形成している。

■〜マタノ・ビューティー〜美しきエビの生態

マタノのエビ達もトウティ同様岩の隙間や倒木の陰などに身を潜めている。
この場所は水深が2メートルとそんなに深くはないためエビの密度は薄いようだ。
■Udang kecil Black tiger
マタノ固有種のエビの一種。この地域には細かい違いも含めて様々なエビが生育するが自然化では交配はしない。

■Udang kecil Tangan putih
白い手を小刻みに動かしながら餌を食べている姿がなんともユーモラスで可愛いマタノ湖のアイドル的存在、そしてマタノ固有種。
遠くからも目立つその体色は捕食動物に狙われないか個人的にすごく心配。とにかくチョコチョコやってる姿が可愛い。

知られざるマタノ湖紀行いかがだったでしょうか?次はポソ湖へ続きます。

ポソ湖へ
マタノのメテンセリウムはトウティより水深が浅いためか、器用に花芽を伸ばしてポコポコ水上に花を咲かせている。
オテリアの花には小さな昆虫が止まり、高確率で受粉に成功し種子を固定にばらまいている。

オテリアメテンセリウムは痛みに大変弱く、環境の変化も嫌うため種子を持ち帰り育てるのが育成には一番効率のよい方法かもしれない。












↓■Udang kecil hitam
砂の中に潜んでいた黒いエビ。彼は写真撮影中に急接近してきたゴビーに食べられてしまいました。

■新種のNymphoides sp
近年マタノ湖で発見された新種のニムフォイデスで、日本のNymphoides Indica(ガガブタ)に近い仲間だが、浮葉をメインに出すガガブタとは異なり枕水葉をメインに展開する珍しいタイプのニムフォイデス。
スラウェシには比較的どこにでもニムフォイデスの一種を見ることができるのだが、この種類は明らかに特異な性質を持つ。

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