■忘却の湖〜ダナオ・ポソ〜

250万年前にトウティ、マタノとは別の場所で隆起した大地に海水が取り残され、長い年月をかけ淡水湖と化したのがこのダナオ・ポソ。
PHは8,9でマタノリザーブの湖よりは低いものの世界で2番目に透明度が高い湖で水深は440mと深く、スラウェシ全土でもトウティに次ぐ広さを持つ。
白いPasir(砂)がどこまでも続き湖畔の町テンテーナには沢山の観光客も訪れるスラウェシ・ポソ州の一大観光地でもある。

ポソ湖にもマタノリザーブと同様に沢山の固有種が存在するが、その固有種に大打撃を与えたのが1920年に発足されたインドネシア政府が打ち出した漁業計画の一角として取り入られた外来魚の放流である。
※主に持ち込まれたのが食用としてのティラピア、Cyprinus carpio(コイに近い仲間)、 Helostoma temmincki 、Puntius gonionotus、Trichogaster pectoralisといった外来魚でポソ湖畔の村のマーケットなどで食用として売買されているのを実際に私は確認している。

そのためポソ湖の固有種はポソ湖の奥地へと踏み入らなければ姿が見られないほどまで激減しており、すでに数種類の絶滅種も出現している。これは今日のポソ湖における非常に大きな問題点である。


■ 湖畔には伝統的な家屋が立ち並んでいる。

■Udang kecil Pelangi
ポソ湖では比較的多くみられる固有種のエビ。流線型だが卵胎生で、強い水流のある場所を好むようである。
このエビ最大の特徴は変色で、青色やピンクというように一日で色をコロコロと変える珍しい習性をもったエビである。
赤い触角と角のような突起とのバランスがデザイン的に洗練されており、カクレエビのような上品な美しさがある。

※外来魚の稚魚
■ネペンテス・マキシマの群落

スラウェシ山間部では比較的普通種として見ることができるネペンテス。
マキシマは分布も広くスラウェシからパプアにかけて生育しており、地域変種も数多く存在する。

マキシマの群落がある場所は日当たりが良好で湿度の高い場所を好み、その土壌は表面こそ乾いているものの、中は湿っている。
また、ウラジロ科のコシダの一種と群落を作っていることが多い。

マキシマのピッチャーはネペンテス・フスカやネペンテス・ヴェイチーを連想させるかのような立派な袋をつけるが、この場所ではどちらかといえば高山種のような繁殖力が弱く長寿に育成するタイプではなく、低地性の種子をばらまいて一斉に増えるような傾向がある。


■下の2パターンの写真はネペンテスマキシマのアッパーピッチャー (上部袋)とローワーピッチャー(下部袋)

■ネペンテスについて
ネペンテスと言えば食虫植物。所謂壺に虫を誘い込んで、落ちた虫を溶かして窒素分を栄養として成長する・・というのが一般論だが、私はその説に疑問を抱いている。
ネペンテスがもし窒素分を必要とするために虫を栄養源としているのであればもっと効率よく虫をとらえる方法を考えたほうが良い。ハッキリ言って壺に落ちる虫のほとんどは自力で這い上がってこれるであろう。また、消化液に落ちると酵素の力で分解・・と歌っているほど内部分泌液は強力ではない。
ではネペンテスの袋は何のためにあるのか?
それは水分貯蔵と自己防衛、そして養分補給である。そして種類にピッチャーの使い道は異なる。

@水分貯蔵について(重要度95%)
一般的にネペンテスがある場所は荒地でほかの植物が生育できないような場所にある。
ベリトンではティン(Sn、錫)を掘り起こした後の有害金属が土壌を汚染している地域に最初に根づくことができる植物のひとつがネペンテス・ミラビリスである。それは根を用いた土壌水分補給を主水源としているわけではなく、ピッチャ−に貯まった雨水を主水源にしているからこそできる独自の業であるからだと私は考えている。

A自己防衛(重要度50%)
ネペンテスが甘い蜜を出すのは、 アリを食べる為ではない。アリをピッチャーに住まわす為に蜜を出しているのだと私は考えている。
アリはネペンテスに近づく他の虫を追い払い、ネペンテスを触媒から守る防衛軍のような役割をはたしている。
実際にアリはネペンテスのピッチャーに住み、消化液により消化されたりはしない。
また、クモもネペンテスと共生していると私は考えているが、アリ同様外敵を駆除する役割を担っており、ピッチャー内部に住んでいる。

B養分補給(重要度15%)
ネペンテスは壺の中にボウフラやアリを住まわせ、その老廃物を養分としている。
自己防衛のためにアリやクモを住まわせ、老廃物を養分としてピッチャー内の分泌腺より吸収している。
また、時折昆虫がピッチャーに落ちて、それが養分となっている(これが食虫に当てはまる)

これ以上詳しく解説するとエクアトールの「楽しく自然と触れ合おう」のコンセプトから外れて「自然界における植物理論」になるのでやめます。
詳しく知りたい方はDiscoveryPlanetをご覧ください。

inserted by FC2 system