■ベトナムの古都ダ・ナンより北に30キロほど向かったとところにあるアンソン川はとても植生の豊かな川である。

雨季のアンソン川は上記写真の砂利の部分まで水かさが増し濁流となってしまうため、水性植物の姿はを見ることができなくなる。ホシクサは種子を残し枯死し、アポノゲトン・ロビンソニーも球根を残して枯れてしまう。
しかし雨期に濁流とともに上流からやってくる栄養分はこの川を潤し、乾期になると一斉に水生植物が発生するメカニズムとなっているのである。



乾季になると水かさが減り、雨期には川底だったところから水草が生い茂る。
右の画像では河原の一部から湧水がしみ出ている場所で様々な水生植物を見ることができる。

↑→デンジソウの一種や面白い葉を持つポタモゲトンの一種





雨期になるとほとんどの水草は増水のため休眠状態に入る。
水の流れのゆるい場所ではシダの一部やアポノゲトンを見ることは出来るが、種や球根、宿根でこの時期を過ごす植物が多い。

クリプトコリネ・ベトナムエンシスも一株に1〜2枚の耐久葉を残して草体を溶かし、休眠期間に入る。


写真上の写真は乾季のアンソン川、右の写真は雨期のアンソン川で同じ場所を撮影している。
この場所の水かさは乾期で1メートルほどだが雨期になると4メートルにもなる。
鬱蒼と茂った樹木の陰にクリプトコリネ・ベトナムエンシスの群落がある。
雨期になると水中に沈み、耐久葉を残して水上葉は溶かし、乾季になると水上葉を展開してベトナムの強い太陽光で活発に光合成を行い花を咲かせ、種子繁殖を狙っているタイプのクリプトコリネである。
↓ベトナム固有種であるアポノゲトン・ロビンソニー

有茎草やオテリア・アリスモイデスも至る所に見られる。日本産のものと異なり葉がスペ−ド状になり、葉先もピンク色で美しい水性植物だ。

また、河原の一部には有茎草に混ざって2種類のホシクサの一種も生育していた。こちらは葉が広いタイプ

水中から水上にかけて葉が細葉になるタイプのホシクサの一種が見られた。




↓雨季に水草が増した川では、水中で青くたなびいているのが印象的だったが、乾季になると写真のように川べりにパッチを作って展開しているようだ。
ミゾハギ科の植物とシダの一種
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