ピンウールィンはミャンマー中部の高原地帯に位置するミャンマーの避暑地で、花の町としても有名な風光明美な土地ある。 この町の気候は日本の信州を思わせるような快適な涼しさに包まれ、蘭の生育環境にとても適しているのだと思われる。
今回ピンウールィンに訪れたのは、パフィオペディルム・ベラチュラムの花期であることや、ミャンマー高原地帯の生態系を調べてみたいという理由であるが、何より暖かいシャン族の人々とのふれあいや、観光地としても名高いピンウールィン滞在はとても楽しめるものであった。

朝はこの森は霧に包まれ日が昇ると霧は消える。この朝の風景はとても幻想的でまるで中国の山水画を見ているような印象を感じる。
この湿潤な環境が野生ランを多く育む森を形成する要素となり、多くの着生植物を見ることが出来ると言えよう。

木の上では野生の猿が何かの実を食べており、赤ちゃんを抱いたメスの姿も見られた。

Dendrobium suavissimum デンドロビウム・スワビシマム 

ピンウールィン近郊で時折見かけるデンドロビウムが本種。ジャングルの中に金の鈴のような美しい花を咲かせている。

滝に続く道を歩いていると、眼下にはシャン州の広大な高原の風景を見ることができる。
■Paphiopedilum bellatulum パフィオペディルム・ベラチュラム 

ミャンマーで一番美しいランと言えば、パフィオペディルム・ベラチュラムだろうと言うほど高貴で美しい花をもつ地生蘭。 花の直径は8〜10pととても大きな花を持ち、原住民も仏花として花摘みをする。
本種はミャンマー、タイ、中国の石灰岩地帯に多く見られるパフィオペディルムである。

現地では風通しの良い丘の上の岩の割れ目や低木の陰などに自生し、ミャンマーでの花期は雨期入り直後である。
こちらもショウガ属の変わった花をつける植物。前から見ると花が寄生植物のナンバンギセルに雰囲気が似ている。
最近日本の青山フラワーマーケットで見かけるようになったCurcumaの原種でショウガの仲間。
シンプルなピンクがとても可愛らしい

ピンウールィンは過ごしやすい気候と多様な生物相を持つとても興味深い場所であり、中部ミャンマーの調査拠点としても有意義のある場所である。
皆様もぜひミャンマー観光の際には花の都メイミョー、ピンウールィンを訪れてみてはいかがでしょうか? きっと様々な発見があなたを待っていることでしょう。

小高い木に着生しているのはリンコスタイリス属と思われる蘭の一種
■Eria sutepensis エリア・ステペンシス 

苔むした表皮に着生しているのが白い可憐な花をつけるエリア・ステペンシスだ。
↑このような岩陰などに自生している株は目立たないので慣れないと見落としてしまいがちである。
inserted by FC2 system