■標高900メートルのプンチャック・パロポのトレッキング紀行

港町コタ・パロポから山岳地帯に登ったところに20軒ほどの集落が集まる小さな山村、プンチャック・パロポがある。
この場所は Papilio blumei(オオオビクジャクアゲハ) の生息地として訪れた場所だが、その自然の素晴らしさはとても素晴らしく、トレッキング中の景色の素晴らしさは息をのむほどだ。

村外れにある獣道のような場所からこのトレッキングは始まった。標高が高く湿潤なこの場所にはヤマビルが多く生息しているため、常に足を確認していても気づかぬ間にヒルに吸血され、足が血まみれになってしまう。
獣道は非常に滑りやすく、何度も転落しそうになりながら山中に向かってひたすら進むと道はやがて谷川に出る。


■高山地帯の谷川には見たこともないような形状のシダが数多く繁茂しており、ここで紹介するシダは谷川の脇の岩に着生していることが多く、川から少し離れた場所には別の陸生のシダが生育している。
水性シダは、必ず川の水しぶきがかかる場所や湿度の特に高い場所に限定して生育していることが多く、水への依存がかなり高いことが理解できる。


↓■星が尾を引いて流れるような珍しい草体を持つ水性シダに出会うことができた。
このシダは水中でも透明なグリーンで葉先の長い繊細な葉を展開する非常に美しいシダである。

■谷川は植物の宝庫
一見何もないように見える谷川だが、じっくり周りを探すと色々な魅力ある植物に出会うことができる。
↑上記のシダは葉脈が美しく浮き出るミクロソリウムと同じウラボシ科のシダで、活着して生育するタイプ。

→谷川の中には水中、水上に展開しているライトグリーンの葉が美しいシダを見ることができた。まるで蝶が羽ばたこうとしているような美しい草体で、色もとても艶やかである。

■霧の秘境へ
谷川沿いにさらに進むと川筋の細くなった開けた場所に出る。ここは蝶の宝庫で、上空をキシタアゲハが優雅に舞っている。
静寂に包まれたこの空間はまるで人を寄せ付けないような神々しさを放ち、この場所にいると森に対して何か特別な感情が湧き出てくるかのような錯覚に陥る。
私たちは自然相手に何かを求めてはいけない。自然に受け入れられた時にこそ、その素晴らしさを垣間見ることができよう。
トロイデスやパピリオ等の大型のアゲハなども上空を飛翔していたが、動きが速いため写真撮影ができなかった。

→バンティムルンでも見ることができたオオオビモンアゲハ。
画面右下にアゲハが休んでいます
■Nepenthes Maxima  ネペンテス・マキシマ

スラウェシ山間部では比較的普通種として見ることができるネペンテス。
この場所ではミズゴケの中にポツンと生育しており、ポソ周辺で見られたものより時間をかけて草体を大きく成長させている傾向に見える。

またこの場所にはパフィオペディラムも数多く見られ、全てにおいてクオリティーが高い。
■Nepenthes Glabrata  ネペンテス・グラブラタ

スラウェシの高山に生育するネペンテス。襟の形が特徴的で、他種との見分けは容易。
あまり日本では知られていない種類のネペンテスである。

■夜のプンチャックパロポで昆虫探索

夕方ホームステイ先のBapak Romanの家に戻ると巨大ランプを発見し、私の突然の思いつきでライトトラップやる事になった。
この日は雨で寒かったためあまり期待はしていなかったのだが、プンチャックパロポの虫を見ることが出来た素晴らしい体験でもあった。

ここでは雨で寒い中わざわざライトトラップに来ていただいた方々を到着順にご紹介いたします。
擬態名人や自然が生み出した芸術品ともいえる、普段は見ることのない秘密の夜の世界を紹介いたします。

夜の擬態名人ともいえる美しい蛾の数々、色鮮やかなピンク種類、フクロウのような可愛い種類、戦闘機のようなスズメガの仲間や夜の帝王ヨナクニサンの仲間(アトラスモス)なども見ることができた。
一晩中ヒルと闘いながら、ライトトラップにやってくる昆虫たちと過ごせ、彼らの良い写真が撮影できたのではないでしょうか?
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