■スラウェシで唯一自然が残る場所〜ケンダリ〜

250万年にアジア区のスンダ棚とオーストラリア区のサフル棚が衝突し、ウォーレスを悩ませた複雑な生物構成が出来上がった。 ケンダリが属する南東スラウェシ州はオーストラリア区であるサフルランドで、オーストラリアに属する生物の起源はケンダリと言っても良いだろう。

スラウェシ中央部から地図にも載っていないような悪路を2日進み、ようやくケンダリに入る。
土砂崩れやぬかるみ等で思うように車は進まず何度もトラブルには見舞われたものの、周りを見渡すとさまざまな風景に出会うことができる。


→■道端に群落を作っていたネペンテス・ミラビリス


■スラウェシの水田

スラウェシ島の水田にはあまり草が生えない。それは除草剤等を撒いているのではなく、水質が硬水でPHが極端に高いため、通常の植物が生長しにくい環境だからである。
それは稲にとっても悪条件のため、生育は遅いように感じられる。

しかしその環境に順応した一部の植物がスラウェシ独自の進化を遂げ、固有種として定着していったのである。

またこの場所は特に標高が高いわけでもないのだが、この時期は夜間になると雲が降りてくるためとても湿潤な気候となる。
雲が水田を包み込むように降りてくる光景はまさに神々しい。


■水辺にあった水生植物たち

ケンダリの北部で見つけた水田にはミミカキグサの仲間やシペルスの仲間、そして水性シダを見ることができる。
このシダは珍しいことに半水没を好み、水がないところには生育していない。

この水田にはコガムシやハイイロゲンゴロウ、コガタノゲンゴロウなども見ることができて、水生昆虫も多く生息している。
↑とても面白い形状をもった湿性植物。

↓スラウェシはPH8以上という特殊な環境からホシクサはあまり見ることができない。

この場所はコタ・ケンダリから西へ2時間ほど向かった先にあるWawotobi地区の水田である。
この場所は水性植物の群落がみられる数少ない場所の一つで、この水田に流れ込む湧水が植物に適しているからであろうと考えられる。

↑■とても赤いタニシの一種

→■紫からのグラデーションが美しいバコパの一種
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