■タンジュンプティン国立公園 Tanjung Puting National Park

クマイから船でスンガイ・セコンイェールを進むこと約5時間、オランウータンの住む原始の森を保護しているタンジュンプディン国立公園が姿を現す。
ここでは野生のオランウータンをはじめ様々な動物を見ることができ、森の中で野生動物たちと生活ができる私が一押しの場所でもある。


クロトック(船)はゆっくりと川をさかのぼっていく。スローなエンジン音に不快感はなく動物たちの領域に踏み込んで行く。普段はせわしなく動き回っているカニクイザルもここではどこかのんびりしている。。。
→こちらの様子をうかがうカニクイザル(Macaque)

タンジュンプティンであまり知られていないのは、昆虫も数多く生息しているということ。南カリマンタンの蝶はほぼすべての種類が生息し、カマキリや甲虫なども数多く生息しています。
まさに昆虫の観察にも適している場所です。

→人間を見つめるベビーマンティス
↓オナガタイマイやゴマダラタイマイ、コモンタイマイも見ることができます。

■ボルネオテングザルとの出会い

ボルネオ島と言えば思い浮かぶのがオランウータン、テングザル、そしてホーンビル(サイチョウ)だと思います。
タンジュンプティンではその全てが普通種として見ることができ、今回はその一つであるボルネオテングザルを見てみましょう。

ボルネオテングザルに出会うためには朝、夕方が狙い目です。彼らはその時間帯になると水辺にやってくる習性があるので出会う確率が上がります。
にも沈みかけたその時、水辺にテングザルの群れがやってきました。彼らは人間に警戒心を抱いているようで、姿を現すと同時に森の中に消えていきます。
一瞬の出会いでしたが、タンジュンプティンの森の住人に出会うことができました。

オランウータンを探して森の中へと歩いてみましょう。
桟橋に船を止め、そこから木道を歩きます。しばらく行くとネペンテス・ミラビリスを見ることができました。
南カリマンタンのネペンテス・ミラビリスはピッチャーに赤い斑点が出ているのが特徴で、一見ミラビリスと同定しにくいパターンです。カリマンタンの固有バリエーションなのだと思います。

ここは原生林の真ん中にある開けた場所。
研究の為、毎日決まった時間にレンジャーが餌を持って行きます。餌を置いて待っていると、森の奥から木々を伝うようにオランウータンがやってきます。

しばらく待っていると2頭のオランウータンがやってきました 。かなり警戒しているようで、あまり人間には慣れていないみたいです。

 

↑ボルネオテングザルの親子

↓餌のバナナやミルクに群がる蝶たち
■Welcome to Camp Leakey

スンガイ・セコンニェールを森の中へと進むと川の水も完全なる淡水となり、透明なブラックウォーターへと変化する。
川幅は見る見るうちにせまくなり、辺りからジャングル特有の蒸し暑い匂いが漂ってきたらもうすぐキャンプリーキーに到着だ。

タンジュンプティンの住人は人間ではなくオランウータン。人間たちはあくまでも森を訪問するゲストであり、彼らの生活の中にちょっとだけお邪魔することができるのがキャンプリーキーです。



ぜひ野生動物と楽しいひと時を過ごしたい方たは一度足を運んでみてください。
最近は週3便ジャカルタ→パンカランブン便があるので、タンジュンプティン国立公園もアクセスが容易になりました。
森に入るとニコニコしながら元気に挨拶をしてくれるのはオランータンのちびっ子達です。
まるで人間の子供のような振る舞いを見せるオランウータンからは、何か私たちと共通するものを感じることができます。


■ポーちゃん日記〜Poh's diary〜
→ 元気な子オランウータンのポーちゃん(勝手に命名)はやんちゃ盛りのお年頃。
いつも元気に木登りをしたり、他のオランウータンにちょっかいを出したりと大忙しです。
最近妹ができてママ・ウータンは妹のお世話であまり構ってくれないのでちょっとつまらないみたい・・・
↓→ママにちょっかい出したら怒られた・・・
↑ニンゲンが作った道路は歩きやすいね!

→ポーちゃんご機嫌。さっき木の実を見つけて食べたのでお腹いっぱいなんだよ〜
→いつも優しいポーちゃんママ。最近新しい妹が生まれました。
ポーちゃんママは、川面の清々しい風が吹き抜ける桟橋で、森に新しくやってくるゲストを出迎えるのが日課です。

■タンジュンプティンのボスウータン
Red monsterのようなボス・オランウータンのTomは顔の横のエラが大きく発達し、他のオランウータンとは違った攻撃的な雰囲気をしているのが特徴です。
群れに侵入するよそ者を排除するために戦闘をするのが彼の役目なのでとても好戦的な性格。

Tomは他のオランウータンの3倍ほどもある巨体なので、木登りよりも地上を歩くほうが好き。

→雨が降ってきたから早く帰らないと・・

夕方になると熱帯雨林特有のスコールが降ってきました。
それにしてもシャワーのようなすごい量の雨 です。

ボルネオテナガザル

「Anda sedang mengapa?」って彼らに聞いてみたら、ニンゲンが何をしているのか気になるから見てるんだって。 暇な時は握手にも応じてくれるフレンドリーでとても温厚な性格。

朝夕は「ホーウッ ホーウッ」という独特な旋律の歌声がジャングルに響き、まるで森の音楽家のよう。

好きな食べ物はバナナ。

こっち向いて笑って!と声をかけたらカメラに目線を向けてくれました。笑顔もとってもキュート。

テナガザルはカリマンタン島のヴァージンフォレストでは比較的見ることができます。
→赤ちゃんウータンはまるで、目がパッチリのぬいぐるみのようです。




■ヒゲイノシシ  Sus barbatus
ガサガサさっと茂みの向こうから登場したのは、森の長老ヒゲイノシシ。
人間を警戒することなく堂々と自分の好き勝手に歩きまわる姿には風格を感じます。

ヒゲイノシシは長い立派な髭をもっており、地面に落ちた木の実や昆虫等を探して歩き回ります。体長は約1,5メートル、体重は200キロ前後とちょっと重め。
↓ママに抱っこするのが好き。
今日もタンジュンプティンではオランウータンたちが楽しく暮らしています。現在ボルネオ島では急速に森が失われ、オランウータンが生息する森はたった数か所の保護区域内しか残っていないのが現状です。
いつか私たち人間の身近でもこのような仲の良いオランウータンの親子が見られ、本当の意味で人間が自然と共存できる未来を作らなければなりません。
ずっと昔、オランウータンは私たち人間の身近に生息している動物でした。未来もきっとそうなることを願っています。
→やはりボスは迫力がありますね。威厳たっぷりの表情です。

タンジュンプティンの水辺ではGraphium agamemnonやPapilio polytes、Papilio helenus?のような蝶が飛び交います。

水中ではBetta foerschi、アジアアロワナが生育していますが、タンジュンプティンは同時にワニの生息区であるため水辺に近づくのは危険です。
実際に人間がワニに襲われて命を落とした例が何件かあります。

キャンプリーキーの周辺では年間を通じて水が澄んでいるため、飲料水として使用することもできます。皆様ぜひタンジュンプティンに行く際にはミネラルウォーターの持参は最低限にして、川の水をご賞味ください。自然な森の味がして美味しいですよ!(弱酸性の軟水です)
多分泳がなければ大丈夫だとは思いますが、水汲み時には茂みや水中に潜んでいるワニにご注意ください 。

↑色鮮やかなトンボ。
→水中には何かの魚の稚魚の群れが泳いでいました。
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