■ボルネオの蝶〜カリマンタン編〜
カリマンタンは蝶がさぞや多いのだろう・・と皆さんは思われているかもしれないが、実際にカリマンタンではあまり蝶を見掛けない。中央カリマンタンでは1997年の大火災の影響で森林が大量に消失したため、それに合わせて蝶も大激減してしまった。
現在蝶を多く見ることができるのは国立公園内や森林地帯などの限られ場所とその周辺である。
蝶に出会うためには午前中の9時〜10時半が好ましいようで、花のある場所や川の給水で寄贈な場所に待機、蝶は追うべからず、待って写真を撮るのである。
水辺で待っていると退屈なので周りを見渡す・・するとどこからともなくハンミョウがやってきたり、不思議なクモが出てきたりとなかなか面白い生き物たちに出会うことができる。
■パンカランブンにて
今日も午前中から泉で蝶を待つことにした。ここはクリプトコリネやミズゴケの南方種なども見ることができるので、待っている間も退屈をすることがない。
私がクリプトコリネに初めてであったのもこうやって待っている時であった・・。
マレーシアのトレンガヌ州で蝶の撮影をするために小川に入るとそこには一面のクリプトコリネ・コルダータが群落を作り花を咲かせていた。不思議なことにクリプトコリネの生育する川には昆虫が次から次へと登場し、一日中その場を離れることは無かった。それから昆虫の多い場所には必ずクリプトコリネがあり、クリプトコリネがただの水草ではなく自然への寄与度がとても高い植物なのであると私は実感したのが始まりである。
今でもクリプトコリネだけではなく、その周囲の生物たちも大事に撮影していきたいというのが信条である。
カメラワークのシュミレーションを終え、
1時間ほど待っていると何処からともなくグラフィウムがやってきた。早くもシャッターチャンス到来と言ったところか?
■Graphium antiphates
オナガタイマイ
東南アジアの自然が残されて場所で時折見ることができる美しい蝶で日本のアオスジアゲハの仲間。
飛翔しているときは白蝶のような風貌だが、止まって翅を閉じたときにこの蝶の美しさが現れる。
前翅長は約35oほど。
カリマンタンのオナガタイマイは体色がより鮮やかなのが特徴。
■Papilio demolion オビモンアゲハ
撮影が難しい蝶の一種。あまり吸水に来ないのでなかなか撮影できない。
今回はサンピット郊外のブーゲンビレアにやってきたものを撮影。
前翅長は約48mm
■Chilasa paradoxa オオムラサキマネシアゲハ
この蝶の擬態レベルは並外れている。存在を知っていたものの、実際に見た時はツマムラサキマダラだろうと思い込んでいたが、モバイルで画像を確認すると、足が6本ある・・・パラドクサだ!
マネシアゲハはあまり見ることができない種類で、今回はとても運が良かった旅になった。
写真はパンカランリマにて
■Euploea sp
亜種なのだろうか?。
今現在カリマンタン南部では乱開発や森林消失が進み蝶も激減してしまった。
しかしパランカラヤやカティンガン地区では森林再生プロジェクトにより復元された森があり、その周辺では、少しづつではあるが蝶の数も増えていることから期待を持つことができる。
将来的には美しい蝶がどこにでも飛び交うような本来の姿になってくれることを願うばかりである。
■Cethosia hypsea ハレギチョウ
その名の通り晴れ着を着ているような美しい模様が特徴のタテハ。
水辺の森の中にでは時折姿を見ることができ、この日も森の奥のクリプトコリネのパッチの横にあった花に蜜を吸いに来ていた彼を撮影。